給与の支払日を変えたい。⇒簡単には変えられない。 | 能天気OLが開業しちゃった!~社会保険労務士として気づいたらもう15年超えていた!

能天気OLが開業しちゃった!~社会保険労務士として気づいたらもう15年超えていた!

コネもお金もない、人脈あるけど客はない・・・そしてもしや頭も足りない?!『ないない尽くし』の私だけど、開業しちゃいました。

本当に困ったときには必ず誰かが助けてくれたから、その人たちに恩返しするつもりで私もあなたを助けたい!

同業の方のこんなツイートがありました。

==以下引用=====================
20日締の25日払いの企業は、今月変則的に祝祭日が集中しているため、25日の支給が難しいと判断。あわてて月末払いに就業規則を変更。
これって、労契法10条の合理的理由OK?

https://twitter.com/ponaken/status/1410487487563141122
===============引用終わり=======


2020年の7月と9月に今年7月と似たような並びの祝日がありましたね。


私の知る限りですが、給与を振り込みにする場合、給与振り込みは3営業日前(しかも午後2時までとか!)までにデータを送らなければならない銀行もあり、今回のような並びだととても厳しいスケジュールではないでしょうか。

(休前日が支給日にある規程の会社さんが多いのではないかと思われますので、今回だと支給日は21日!になってしまう!)
※給与を振り込みで支払う場合、給与日の朝一には着金していないといけません。
(金融機関の開店時間に引き出せるようにしておかないといけない)


支給日が休日明けの26日だったとしても、従業員の人数やその業務を行う人たちの能力にもよりますが、急いで業務を行えばそれだけ間違えてしまうリスクも高いでしょうし、給与計算という業務の性質上、間違えは許されない部類ですよね。そんなプレッシャーもあります。



就業規則を改定することが労働契約法第10条の合理的理由となるか否かですが、どうなんでしょうか。
 

カレンダーをよく見てみたら2020年2月もけっこう厳しいスケジュールですね。。。
1年半の間に4回、似たような厳しいスケジュールのカレンダーがあるわけですが。

祝祭日がお休みの金融機関や取引金融機関との契約によって締め日から支払日まで中1、2日しかないのは業務負担を考えても合理的理由となり得ないかしら。。。



実は、私の顧問先でも20日締め、25日払いの会社があり支払日を末日に変更したことがありました(20日締め、末日払いに変更しました)。

給与の支給日に合わせて支払いを予定している従業員が多いと思いますので、当然、すぐに変更はできません。

私が変更を行ったときは従業員全員にまずヒアリングて状況を確認し、そのうえで、会社の希望(支払日を変えたい)を伝えてどの程度の期間があれば変更可能かなどを検討しました。


その会社とは別に、支払日を変えるのはきついとの従業員からの要望があった会社もありました。
25日締め⇒末日払いだったのですが、こちらは締め日を20日に変更しました。

どちらも3ヶ月~半年後に実施ということで従業員の皆さんには準備をしておいてもらいました。

どうしても次の給与から即変更したい、しないと間に合わない場合はまず月給などの固定的給与部分を支払い、時間外手当などの非固定的給与は後日支払う等、従業員の生活に支障がないよう努力する必要はあるでしょう。

なるべく今の支払日から遠くない日に変更する、

今の給与額から大きな差がないように締め日を変えるようにする、その他1年くらい時間をかけて段階的に変更していく

のも手だと思います。



しかし、就業規則変更をして意見書添付、労基署に届け出て、従業員に説明、周知をさくっとやらないといけないし、けっこう大変な業務だと思いますので、これから起業する方は給与の締め日と支払日はよくよく考えて決めた方ががいいと思います。

特に給与に関することなのでできれば従業員一人一人に同意を取り付けたいところでもありますしね。


気になったツイートだったので、私の経験上の話をしてみました。

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労働契約法第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
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労働基準法第24条
1.賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2.賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
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※「賃金支払いの5原則」と呼ばれているものの根拠条文