会社の忘年会への参加は就業時間中?~残業代は支払われるのか~ | 能天気OLが開業しちゃった!~社会保険労務士として気づいたらもう15年超えていた!

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コネもお金もない、人脈あるけど客はない・・・そしてもしや頭も足りない?!『ないない尽くし』の私だけど、開業しちゃいました。

本当に困ったときには必ず誰かが助けてくれたから、その人たちに恩返しするつもりで私もあなたを助けたい!


忘年会や運動会、ゴルフコンペなど会社のイベントは福利厚生の一環として会社が行っていることがあります。私が以前に勤めていた会社も福利厚生としてそういった社内行事がありました。

そういったイベントを勤務時間に行うのであればあまり問題にはならないのかもしれませんが、
(あくまで賃金が通常通り支払われているのが前提です。)

 いや、忙しい時期にそういったイベントで業務が滞るのは困るってこともありますね。
 お客様への周知が甘くてイベント中に顧客対応をしなければならなくなったり。


それはさておき、今SNSなどで話題になっているのは勤務時間外の話だと思いますので、そちらを軸に話をしていきましょう。

そもそも労働基準法では労働時間は1日8時間、1週40時間と決まっています。普段残業ができているのは、俗にいう36協定が労基署に届けられているため、その協定の範囲内で時間外労働を行うことを許されているにすぎないのです。


だから当然36協定が届け出されていなければ会社は従業員に”残業”させることはできません。


さて、勤務時間外に忘年会など会社のイベントがあった場合、36協定が届け出されているのが前提として、

……ところで、社内行事で時間外労働や休日労働をさせる場合、業務の種類とかどう書けばいいんだろ。まあそういったもろもろがクリアにされていることを前提に話を進めますが。

終業時刻後の会社のイベントに参加することを業務として命令された場合、業務命令ですので原則としては拒むことはできません。
そのイベントに参加している間は業務命令の下に行われているので当然労働時間です。

なので、残業代は当然に支払われます


残業代が支払われない場合、それは業務から切り離されていることが前提で、「参加は自由である」「参加を強制されていない」ことが必要です。

 


「絶対に参加しなさい」と参加を強要されているのはわかりやすいのですが、自由参加をうたっているのに

 

「参加しないと評価に響くかもな」

「〇〇さんは参加するから昇格させようかな」

 

とかそういったことを言われた場合は参加をしないことによる不利益があるので、参加を強制されているといえるのではないでしょうか。
不参加を理由…というより参加した人を優遇することが多いかもしれません。

こういったことを言っていて実際にそうしてしまったら、参加しなかったことを理由に不利益な扱いをしたのではないと言っても通らないかもしれませんので発言にはくれぐれも気を付けて。


自由参加をうたっているのだから、不参加することにより賃金や評価が下がることはあってはならないですし、例えば上司が不参加の部下に対して不機嫌になったり、無視をするなどの態度を取るようなことがあれば、部下は参加せざるを得なくなりますよね。

しかもそういった態度はパワハラにもなります。

これは強制参加と言える可能性が高いです。

またどうしても参加させたいがためにそのイベントの幹事をさせたり、そのイベントでの重要な役回りをさせたりすれば、それは参加を強制していることになります。


参加を強制されているのであれば当然労働時間ですので、時間外労働手当(残業代)が支払われないのは”違法”となります。

 

残業代を支払いたくないのであれば上記に当てはまらない方法で社内行事を行ってくださいね。


 

少し話はずれますが、、、

 

業務として社内行事を行う場合の気になること。
 

社内行事を行っている時間は労働時間だとすると、”労災事故”の問題も出てきますね。

 

たとえば社外の宴会場などで忘年会を行った場合、自社の社員ではない酔っぱらいなどに絡まれたり、転んだりすることもありますよね。
 

それから、酔っぱらって従業員同士でけんかが勃発すれば就業中なのでその従業員の上司の管理監督不足が問われるかもしれません。(就業規則に則って懲戒を受けるかも?)

管理監督者自身も酔っぱらっていたりして、部下に目が行き届かないこともあると思います。でも”業務中”ですからね。安全配慮義務や管理監督責任はあります。
 

参加費用の取り扱いなど税法上の処理もありますし、けっこういろんなことを考えて行わないといけないですね。


うーん。こう考えると社内行事ってメリットあるのかしら。

ちなみに忘年会などの酒席の話ですが、2次会などへ流れていったり、2時間を超えるような長時間の酒席では”業務”とは言えない可能性が高いです。



さてさて、あとは独り言です。


私が以前勤めていた会社は年末の最終出勤日には納会をやっていました。その日は午前中の勤務もそこそこに(業務はほぼ前日までに終わらせている)ケータリング等を準備して1時間ほど飲み食いをし、
終業時刻前でもそのままお開きになりました。(終業時刻前でも賃金の控除はありませんでした。)

準備は管理部の仕事だったので下っ端の私はめんどくさいなーと思いながら準備していたんですが、担当権限で自分の好きなお酒や食事をそろえたり、かわいい飾り付けや案内を作ったり、それなりに楽しんでいましたかね。

ビンゴ大会などがあるような会だと商品を手配したりしなければいけないので、年末のこの忙しい時にやってられるかー!ってなりますけど、ケータリングを注文したり準備と片付けがのしかかるくらいだったらまあ許容範囲かしら。しかも片づけをしたとしても終業時刻前に帰れるし。

何はともあれ勤務時間に行われていることだったので、特に文句をいう社員もいなく、ちょこっと顔を出すだけですぐに業務に戻る人もいたし、自由でしたから問題にはならなかったのかな。

会社の雰囲気や従業員の特性によるものもあると思いますが、社内行事は慎重に行った方がいいのかもしれません。(ここ最近はまた社員旅行とか復活してるみたいですけど)



酒席はできれば気が許せる仲の良い方たちと過ごしたいですよね。

まあ上司と飲むのも勉強になるので私は嫌いではなかったですが。

 

医療関係者もずっと休まず頑張っていますし、そう考えると今は大規模な宴会はできないですが、そういった集まりが好きな方もいるでしょうし、ホテルや飲食店、そこに付随する業界はこういった集まりがないと”おまんま食いっぱぐれちゃう”ので、早くどうにかこのウイルスと共存していける世の中になるといいなと思います。

 

お読みいただき、ありがとうございました。